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まちサロン開催レポート 7/2 青山大介さんと見る神戸の鳥瞰図

2020.07.04

2020年7月2日(木)19:00~21:00
現地参加者:10名 オンライン参加:10名(zoom利用)

まちサロン人気企画 辻さんの空中写真と地図シリーズの「鳥瞰図」
これまで、大正昭和の広重と呼ばれる「吉田初三郎」の鳥瞰図を中心に見てきましたが

今回はなんと!現代の鳥瞰図絵師:青山大介さんをゲストにお招きしました。
青山さんのWebサイト→コチラ

【プログラム】
前半:青山大介さんの鳥瞰図の話
後半:吉田初三郎の鳥瞰図の話(今回はレポート省略)

辻さんの進行で
まずは、神戸が描かれた鳥瞰図ってどんなものがあるのかを見ていきます。

1.摂津名所図絵
200年ほど前、当時の観光ガイドブック。
神戸の西の方は、ページをつなぐと苅藻川(新湊川)から須磨まで1枚の絵になることが判明!!
地域の紹介に鳥瞰図が作られていたことがよくわかる。

2.吉田初三郎の鳥瞰図
「大正昭和の広重」と言われている鳥瞰図絵師。昭和5(1930)年に神戸の鳥瞰図を2枚描いている。
①神戸市名所交通図絵(神戸市電気局発注)市電、市バスの停留所が書かれている
②大神戸を中心とする名所鳥瞰図絵(出版社発注)
この当時、鳥瞰図が流行っていたが、同じ年に同じ構図で発行されているのは面白い。
阪神水道事業団70周年記念誌の表紙は、初三郎の工房の作と思われる。

3.しんび堂の鳥瞰図
初三郎と同じ時期。構図は似ているがタッチが全く違う。どちらかというと「絵」で、作者不明。
(誰か知ってる人はいるかも?)

4.石原正さんの鳥瞰図
1981年ポートピアの時期に神戸の鳥瞰図を出版「神戸絵図」青色基調の描き方をしている。
奈良や京都などの鳥瞰図もある。

そして、青山大介さんの鳥瞰図
石原さんの鳥瞰図に触発され、同じ角度で描いた港町神戸鳥瞰図が代表作

そんな神戸の最先端の鳥瞰図絵師 青山大介さんにお話をうかがいます。

【青山大介さんから自己紹介】
鳥瞰図は2006年から描き始め、開港150年からいろいろなお仕事で描くことが増えてきました。
神戸以外の地域も少しずつ広がってきて、最近は、鳥瞰図がメインのお仕事になってきたところです。

ここからは、辻さんからのインタビュー形式です。

〇鳥瞰図を書き始めたきっかけは?
石原正さんの鳥瞰図が好きで、作品を集めたりご本人に会いに行ったりしていました。
石原さんが2005年に亡くなったことが忍びなく、日本で鳥瞰図を描いている人がいなかったので
自分がやろうと思った。きっかけは石原さんです。

〇鳥瞰図ってどうやって描いているの?
石原さんの描き方を実際に見たことはなかったが、著書を参考に自分のやり方を確立していきました。

基本的には、空撮と、地上を歩いて写真を撮ること、斜め空撮などで素材を集めて、
建物の階数を立ち上げたり建物、街路樹の位置を合わせたりしながら手作業で書いていく。

僕はパソコンで色を塗っているが、石原さんは、製版フィルムを使っているのでたくさんの
版を削って作るという細かい作業を何回も繰り返していたみたい。

石原さんの神戸絵図は、震災前の神戸の姿が分かる第一級資料といえます。
今は無くなった建物をみることができて楽しい。ポートピア博覧会の鳥瞰図もありますね。

〇青山さんの作品はどう描いているの?
今は、歩き回って写真を撮るのと、Googleマップを使っています。
空撮は、2人乗りのヘリコプターで飛び回って、撮影は自分でやります。

建物の色も実物に忠実に、高さも調べてます。高層ビルの高さは調べやすい。
小さい建物は分からないので、自分の中で係数を決めて作っていきます。

原画はA3サイズで作って(A3はスキャンできるサイズなので)つなぎ合わせていく。
よく見るとつながらないところも出てきて、そこがやっていて一番辛いところ。
あんまり見てほしくないところです(笑)
分割する部分に気を付けていても合わない部分が出てきて、いまだに戦っています。
パソコンを使っているが、作業自体はアナログ。窓枠のマスひとつひとつ色を塗っています。

〇苦心する点はどこ?
先ほどの話と同じくデータをつなぎ合わせるところで、いまだに正解が分からない。

一番最初に書いたのは旧居留地で、1枚の紙に収まる範囲だったので苦労はなかった。
その勢いで港町神戸を描いたのですが・・・居留地が描けたので味をしめたわけですが、地獄でした(笑)
製作期間は、途中さぼっているが、描くのには3年半かかった。

〇ここを見てほしい!というポイントは?
船が好きなので、船の描き方には遊び要素を入れています。
実在の船や、その当時はいないけれど絵には入れているものもあります。
僕と船員さんが信号旗で会話しているところがあるので見てほしい。

鳥瞰図の中は、ほとんど無人だけど、ところどころ入れている。花時計や東遊園地、南京町など。
低層の住宅密集地区はすごく大変。南京町も大変だった。南京町の中で龍舞を描いている部分もある。

〇港町神戸鳥瞰図のアップデートがされている?
最新は2017年版です。基本的には建て替えたところを描き替えている。
見比べると変わったところが分かりやすいです。神戸今昔鳥瞰図もある。
ベースになる図面は明治5年の地図などいろんなものを組み合わせていて、一部想像で描いている部分もあります。
現在のふ頭のシルエットを描いていることで、現在との位置関係がわかりやすい。こういうものを描きたかった。

2年前から三宮周辺を描いて、都市の変化を記録として残していけば未来へのプレゼントになると思っています。
1作目だけは公開されているが、今は描いて溜めているところ。

〇青山さんの鳥瞰図が防災マップに採用されていますね
市内3か所に津波防災マップのベースマップとして鳥瞰図が採用されています。
鳥瞰図が防災図として使われているのは歴史初の快挙かもしれない。
北海道で一歩早く使われているがそれはCGの鳥瞰図。手描きは神戸が初だと思う。
今使われている鳥瞰図は描いてから6年たっているので更新したい。
三ノ宮センター街東入り口、大丸前、ハーバーランドの3か所に設置されているのでぜひご覧ください。

ご参加のみなさんからの質問にもお答えいただきました。

Q.空撮でドローンは活用できないの?
都市部でドローンを飛ばすのはリスクが大きく、バッテリーの持続時間や、
飛ばす回数を重ねるとリスクも増えるので、ハードルが高いと感じている。

Q.鳥瞰図を描く鳥の目の視点ってどうなっているの?
港町鳥瞰図は石原さんと同じ角度で描きたいというのがあった。
それ以降は、どこから観たらこの街が映えるかを考えている。
一つの対象のビルが将来にわたって見える角度(定点観測の観点)を考えている。

Q.今、描いている場所とか教えてください
摩耶埠頭の昭和43年を描いている。秋に作品展を予定している。

神戸港は、日本で初めてコンテナ船が入った港で、震災までは世界トップクラスで日本では頂点を極めていた。
震災で落ち込んでから今の位置に落ち着いている。その頃のことを知らない人が多いので、
もう一度このころのことを掘り返したい。港町育ちなので、港湾に思い入れが深い。

Q.六甲アイランドは描かれていますか?
描いていませんが、六甲アイランドの商業ビルの中に石原正さんの鳥瞰図があります。
石原さんの作品が外で見ることができる唯一の場所。動かしてみることができて面白い。

Q.兵庫津から福原京にかけて(神戸の昔の中心地)は描かれないのでしょうか
開港150年の時に描きかけたけど、その1年間で間に合わなかったので途中で止まっている。(一同笑)
建物の様子など分からない部分も多くて大変。

Q.鳥瞰図の中で省かれている部分はあるのでしょうか?緑が少なく感じたりする。
木の位置は合っていると思うが、スタンプなので形や大きさは変わっているかもしれない。
電柱は描いていない。すごく目立つ看板しか描いていない(ユザワヤなど)
基本的にあるものはすべて描くのが石原さんの描き方。それを守っている。

Q.万博の鳥瞰図はたくさん描かれているが、それは商売にならないか
愛知万博はCGで描かれたので鳥瞰図ではなくなった。大阪万博は、なんとか・・・(笑)

Q.青山さんが好きな建物と、描いていて楽しいものは同じですか?
描いていて楽しくないのは住宅密集地です(一同爆笑)
楽しいのは大きいビルを描いていると楽しい。超高層ビルは気が晴れる。
建物を見るのも大きなビルは見ていて楽しい。
住宅密集地が見ていて楽しくないわけではないが、描くのはしんどいんです。なかなか進まないので。
ニュータウンの画一化された住宅地が一番しんどい。

歴史のあるところは描いていて楽しいです。そこから地域の歴史が見えてくる。

【辻さんよりまとめ】
描く身にならないと分からないが、見ている側は住宅密集地の方が面白い。

手描き鳥瞰図を描くにはいろいろなご苦労があるということがわかりました。
わかりやすく地域を紹介、説明するために鳥瞰図を行政としても取り入れている神戸。

観光だけではなく防災という大事なものに使われている鳥瞰図の最先端であると思います。
ぜひ、大阪万博の鳥瞰図も目指してほしいです。その前に兵庫津を完成させてほしいです(笑)

青山大介さん、ありがとうございました。

後半の初三郎編については、これまでのまちサロンレポートをご参照ください。